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映画を作っています。監督・三島有紀子のブログです。ここから、しなやかな、楽しい、いろんな広がりが見えてくるといいな、と、思っております。


by yukikomishimafilm
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分け合う、こと。

分け合う、こと。_f0189447_843774.jpg

おかげさまで
「しあわせのパン」は
2012年1月28日
無事に
この世に生まれて来ることができました。

わたしには、この瞬間が
奇跡のように思います。

17年前に
阪神淡路大震災がありました。

自分自身阪神淡路大震災を経験して
ドキュメンタリーの取材を通じて感じたこと
ですけど

それは、何気ない日常はけっして何気なくはない、ということ。
いま、こうして
自分の意志で何かを出来ていること、
隣に誰かいること
…奇跡的なことだと思うのです。

そして多くの避難所で
みんなが食べモノも着るものもスペースも
そして気持もすべてを分け合っていましたし、
誰もが何が一番大切か身に沁みて感じ取っていたし、
また誰もが誰かに助けられ又誰もが誰かの役に立とうとしていました。

〝人は何かをshareして生きている〟
当たり前のことですが、
人が人と生きて行くということは誰かと何かを分け合って生きるということなんだと
あらためてそう感じました。

だからこの映画に
すべてにおいての〝share〟という考え方をこめようと思ったのです。
脚本を書いているとき
大切な〝ひとつだけ〟が手に入らない人たちが、
誰かと何かをshareすることで
別に幸せになんかならない、
ほんの少し変化し、
それがまた誰かに循環して行くという
映画にしようと思いました。

それでしつこく撮影現場では
パンを分け合うカットを撮り続けていました。
台詞でそれを言う訳ではないので
視覚だけで伝わるのかと自問していたところ
すると…
鈴井亜由美さん森谷雄さんプロデューサーのみなさんも
「分け合うってことか・・いいよね」
としみじみ言ってくださり
映像だけでもきちんと伝わるのだなと
このメッセージを盛り込んで
よかったと思いました。


私が
このようなファンタジーの映画なのに関わらず
舞台挨拶で
毎回17年前の阪神淡路大震災の話をしたのには
こんな理由がありました。
こんな場で震災の話しはマスコミもとりあげない話だし
気分よく映画館に見にきて頂いたみなさまには
なぜ突然…と思われた方も多いと思うのですが
ご理解頂ければ有り難いです。

私自身、映画を見て頂いたみなさんと
この映画を分け合えている
この瞬間に
心から感謝したいと思います。
ありがとうございます。


そして、最後になりましたが
この映画に関わったすべてのみなさま、
プロデューサーの皆さま
スタッフ、キャストのみなさんはもちろんのこと、
カフェの落合夫妻、
洞爺の皆さま、
北海道の皆さま、
劇場の皆さま、
映写してくださっている皆さま、
そして見てくださっている皆さま、

心から感謝します。

すべての創造性に心から敬意を捧げます。
ありがとうございます。  


分け合う、こと。_f0189447_845113.jpg

by yukikomishimafilm | 2012-01-31 08:04 | 三島の幸せ(もの・こと・ひと)