映画を作っています。監督・三島有紀子のブログです。ここから、しなやかな、楽しい、いろんな広がりが見えてくるといいな、と、思っております。


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映画『ぶどうのなみだ』第38回モントリオール世界映画祭に行ってきました!

映画「ぶどうのなみだ」が
第38回モントリオール世界映画祭のワールド・グレイツ部門に招待いただき、代表で行ってきました!
※モントリオール映画祭会場(Koichi Kawai撮影)
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※kayo yoshida撮影
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※海外版フライヤーです。
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モントリオールはカナダのケベック州にある港町です。
フランス語圏だからか、映画祭の町がカルチェラタンとよばれる学生街だったからか、
ヨーロッパの街並のようで
とても文化の香り高い芸術の街と言った雰囲気で、とても素敵でした。
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『ぶどうのなみだ』は三回上映していただきました。
私の最初のお仕事は、英語での挨拶!
ボンジュール!から始まる挨拶を、同行したアスミック海外担当の吉田さんに指導していただき、
台詞のように覚えてドキドキしながら挨拶しました。
伝わる言葉で話すってとても大切ですね。

わたしは、毎上映、一番後の壁に立って
映写技師さんに音の調整を伝えたりしながら、お客様の反応をこまかーく観察していました。
とりあえず一度目の上映のエンドロールで拍手をいただき、ホッとしました。
二度目は口コミで満席となり、三度目は三十分前からたくさんの方が並んでくださり立ち見も出て、
両方とも上映後は拍手をくださいました。
冷静に観ていた私もこのときはさすがに、スタッフキャスト、プロデューサー陣、この映画に関わったみんなの努力が伝わった気がして心の奥底がじんとしました。

C'est bon!
この言葉は、多くの方々にいただいた言葉です。
上映後、わざわざやって来て、声をかけてくださいます。
大地、情熱、家族そして愛、が描かれたこの作品は誰の心にも響くと思う、と言ってくださった感想が印象的です。


※上映後の会場
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上映後のQ&Aではたくさんの方が感想と質問をくださいました。
司会のアメリさんが英語、同行した吉田さんがフランス語に訳してくれました。
みなさんとても深いところまで感じてくださり、映画のことについて語り合える本当に素敵な時間でした。そのいくつかを記しておきます。


Q これは、すべて日本で撮影されたのか?
A oui.そうです。日本の北海道と言う場所でオールロケをしました。
(身振り手振りで場所の説明。笑)
北海道空知は他のどこにもないオリジナルな風景と文化を持っていて
映像的で素晴らしい場所でした。
ここで実際にワイン造りも盛んにされています。


Q 音楽の入り方がとても素晴らしかったし、あのカットで無音にしたのはわたしも賛成です。
音楽家に要求した言葉はなんですか?
A 効果音でなみだの部分は表現するので音楽で大地、風、を感じさせたい。
そしてラスト以外は抑えた表現で感情表現を強めてもらいたいとお話ししました。
でも私の言葉よりも、音楽家の安川午朗氏が、実際この撮影場所に立って感じ取ってくれたものが大きいと思います。


Q 映像もとても美しかったが、監督が影響を受けた画家は誰ですか?
A ヴィンセントゴッホ、葛飾北斎、河鍋暁斎、エドワード・ホッパー、ヴィルヘルム・ハンマースホイとたくさんいるが、
 今回の映像に大きく反映されているのはアンドリュー・ワイエスです。


Q 色もとても美しかったが、色は美大で勉強したのか?
A この質問はよく受ける質問なのですが私自身は独学なんです。
 プロフェッショナルな美術部のセンスとあとは感覚でしかないです。

Q 衣裳も素晴らしかったが、衣裳の何に一番こだわったのか?
A 当たり前ですがキャラクターを作り上げることです。それぞれの人間がどういう環境でどんな風に育ち、どんなところでどんなものを手に取るかどれくらい服を持っている人間か、 そんな話しをしながら、例えばこんな素材やこんな服というように細かく何度も打ち合わせしました。その上で、映画の世界観の話しをしました。
実際撮影する場所の写真などを見せて、背景の色からの計算もしていただきました。 スタイリストの大森さんと十川さんがこの映画の世界観をよくつかんでくれていましたから、イメージを膨らませて作ってもらいました。

Q 衣裳、車、道具、美術が年代がバラバラなのはわざとだと思うのですがそうですか?
A oui.そうです。どの年代の話しなのか、どこの物語なのか、
より寓話感を増すため
19世紀をポイントにバラバラにしていきました。
ですが、だれがなんのためにそれを使っているのかという理由をひとつひとつ掘り下げて
スタッフは作ってくれていますから、寓話であるけど地に足はついていると思います。

Q ワインの映画を作るのにどれくらいフランスを意識しましたか?
A フランスの農夫の衣裳や昔ながらのワイン造りの工程・やり方などを調べました。
土壌に関してはどちらかというと北海道空知はドイツの方が近かったのでドイツのワイン造りも調べました。
衣裳のトリコロールの配色はフランスを意識したわけではないですが、大地に三人が立ったシーンを思い浮かべると 綿や麻の、この三色がじわっと浮かんだのです。

Q なぜ主人公のアオの指揮する音楽はカヴァレリア・ルスティカーナだったのか?そしてなぜピノ・ノワールのワインだったのか?(これは全回出た質問でした) 
A まずは私自身どちらもとても好きだからというのも理由です。笑。
そしてこの二つこそがアオのキャラクターを作り上げる象徴的な二大要素と言っていいです。
カヴアレリア・ルスティカーナは、旋律がとても美しい楽曲で、美しすぎて悲しいと言われています。
音楽の安川氏に相談したときに、そう語ってくれました。
アオは、大地に育った田舎者であるということにコンプレックスを持っているが故に
指揮者として〝限りなく美しくエレガントで洗練された音楽〟を目指しました。
カヴァレリアの間奏曲のメロディは、繊細で美しく単独のピアノで弾いても人の心をつかみ離さない力を持っています。
その彼がこの曲を選び、限りなくエレガントな演奏に仕上げていたのだと思いました。
その後アオは、音楽の道を絶たれワイン造りを始めましたが、音楽で出来なかったことをワイン造り  
で成し遂げようと思っています。
〝限りなく美しくエレガントで洗練されたワイン〟を造る。
それは、彼にとって、栽培が一番難しいと言われているピノ・ノワールという品種だったのです。
Cavalleria Rusticanaとはイタリア語で〝田舎の騎士道〟という意味です。
主人公のアオはどこかで、Cavalleria Rusticanaというオペラに登場する、
情熱的で愚かな人間たちと自分自身の愚かさを重ねている部分もあったのではないか、と考えています。


※モノクロの写真は、モントリオール映画祭の立ち上げであり、選抜デイレクターのMr.ロジックさん。
ラストナイトにデイナーをごちそうになり、いろいろお話を伺いとても刺激を受けました。
モントリオールのあるカナダのケベック州は、もともとハリウッド映画しかかかっていなかったのを、
映画への愛情のあるみなさんが、戦後、フランス映画をかけ、やがて世界中の映画をかける映画祭を立ち上げて38年。いまでは、ケベックから映画の制作者が出てムーブメントを起こし、ハリウッドでも活躍しているとのこと。
まちがいなく、努力の積み重ねで監督や制作者、そして観客を育てるんだなあと実感しました。
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最後に。
短い滞在でしたが、映画祭では、たくさんの活力をいただき、
あらためて、高みを目指した映画づくりに一歩一歩邁進しようと思いました。
みなさまとただひたすら一緒にひた走れたら、と思っていますので
どうぞよろしくお願いします。

そして、10月にはいよいよ日本全国公開になります。
たくさんの方にこの映画を観ていただければうれしいです。
そして何かしら伝わるものがありますよう願っています。


※モントリオールの点描など。空港に着いて最初に観た光景です。
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※アオと白のナンバープレートが素敵。
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※パンとワインはいかがですか?
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※クレープ屋さんの窓から。クレープにはメープルシロップをかけていただきます。
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by yukikomishimafilm | 2014-09-15 14:37 | *お知らせ