映画を作っています。監督・三島有紀子の公式ブログです。ここから、しなやかな、楽しい、いろんな広がりが見えてくるといいな、と、思っております。


by yukikomishimafilm
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

奴(ヤツ)。

明日はMAだ。

そして今日は友人の命日だ。
昨年の今日、 バイク事故で亡くなった。

奴は、10年来の仲間で、音響効果や音楽プロデュースをやっていた。

奴は、「あしたのジョー」が大好きで、昔ボクシングをやっていた。
その後ミュージシャンから今の仕事について、自分で会社を立ち上げたパワフルな男だった。

奴は、見た目が少しイチローと萩原聖人に似ていて、女にだらしなく
毎回連れている女が違っていた。
結婚もして子供もいるし、私は「どうしようもないね」と一度言ったが、
奴は笑っていた。

奴は、いつもバイクでスタジオにギリギリに現れた。

奴は、音のセンスがよく、何よりいつも「こんなのどう?」と戦いに挑んで来た。
私は「いいんじゃない」と笑うか
「それよりこんな感じでは?」のどちらかだった。
そこから、いろんな話が生まれた。何にどう思っているのか。とらえ方の話。

とにかく、奴といる時間、
打ち合わせだろうが、
音を選ぶ作業だろうが、
仕上げだろうが、
なんだっていつも楽しかった。

何かを作りたいと思ったらまず最初に奴に電話をかけた。
「こんなのがしたい」と言うとすぐさま「じゃ、こうしよう」という話になり、
やるかやらないかなんて話には一切ならなかった。
すでにもうどうしようかとなり、そんな話しかした覚えがない。
「お金はないよ」と言う。
「いいよ。おもしろそうだもん」と返って来た。

音の感覚は言葉だけでは理解し合えないことが多い。
奴とは、すぐさま話が通じ合えた。

 私は、いろんな行程の中で、MA(音の仕上げ)作業が一番好きだと言っていた。
それは一番最後の作業でそれが終わると完成だからだと思っていた。

が、奴を失って、わかったこと。

一番好きだった理由は、『奴との作業だったから』、なのだ。

昨年、死を聞かされた電話を切った後、初めてこんな言葉が出た。
「バッカジャナイノ」。
バッカジャナイノ。バッカジャナイノ。バッカジャナイノ。
何度も出てくる。
やりきれないよ。バカヤロウ。

奴は、最後の1年、過労で倒れ、田舎で嫁さんとこどもと
向き合って暮らした。

回復して復活かと言う時のことだった。

まだ受け入れられないけど、とにかくさ、嫁さんとこども、見守ってやれよ。

いま、奴を失ったことの大きさを感じている。
でも、奴と出会った事の大きさも感じている。

    thanks  奴。

三島公式サイト yukikomishimafilm.com/
[PR]
by yukikomishimafilm | 2008-12-19 15:28 | 三島の幸せ(もの・こと・ひと)