映画を作っています。監督・三島有紀子の公式ブログです。ここから、しなやかな、楽しい、いろんな広がりが見えてくるといいな、と、思っております。


by yukikomishimafilm
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随分と前に
0号試写で,映画「孤高のメス」を見させていただきました。

臓器移植は是か非か・・ つまり人間の、何を持って死ととらえるか
という深遠な部分

エンターテイメントの
バランス、のすごさ。

監督の成島出さんの
「人間のこういう表情をとらえたいという瞬間」
をカットせずに 描かれている事,
またリアルに人間の肉体と医療の現場を写し出す事で
「生と死」がなまなましく伝わってきて、
とにかく 芝居も音楽も すばらしく
監督やプロデューサー、撮影の藤澤さんの人格が見えて来た作品でした。


実は、私の父は交通事故で脳死状態でした。
臓器を提供するしない、という話しはなかったのですが(年齢がいってたので)
延命治療を受けるか受けないか・・・という 選択がありました。

医者は すでに「脳死状態・・・死んでいる」という判断です。

私、若かったので

何言ってんの?この医者。
まだあったかいやん。脈うってるやん。
まだまだ生きようとしてるやん。
治療を続けてよ!!!
私は、「絶対してほしい」と断言していました。
当たり前です。

でも、母が
「せんでええんちゃうかな。お父さん、もうじゅうぶんがんばってはる」と小さな声で言いました。

その時、私ははっとしました。
言葉を失いました。父がどう考えてるかなんて 考えてなかった。完全な私のエゴです。
どんな風に父が死んでいきたかったかを 想像する必要がある。 
母は、
父の人生を考えて
もうじゅうぶんに生きて、ただひたすらに全うしてほしい、そしてこれ以上苦しまないでほしい・・・そんな母の願いがとても清らかで、
わたしは、兄の目を見ました。
兄は黙ってうなづきました。
そして、私も黙ってうなづきました。

そして、お医者さんが延命治療の器具をはずしました。
「個室にうつします。(それまでICUだったので)御家族で過ごして下さい」
と言いました。
それから、家族で交替で看ていて、4日後,家族全員の前で、父は、息をひきとりました。
脳死状態から 心肺停止まで ゆっくりと完全なる死を迎えたわけです。
父は生を全うしたと思います。
私は,この経験から
やはり 最後の細胞一つが死んで行くまで
    カラダノ温もりが完全に消えるまでは
「死」 と認められないと思います。 

ただ、
もしそこに
臓器を提供することで
生きてゆける命があったとしたら・・・
それはまた 違う考え方が生まれるかもしれません。
わかりません。

余貴美子さんが演じられた、脳死状態の息子の母親は 息子の臓器を提供するという決断をくだします。
彼女の決断は、息子はもし言葉を交わせたらどうしてほしいと言ったか,そこにひたすら向き合った結果だったところに共感します
彼女の選択は。命を分け合うという精神にあふれた 潔い生き方だと感じました。
きっとそれは 「息子を失ってしまった後の悲しみを含んだ複雑な感情」,そしてそれでも「しっかりと生きて行く」姿を
説得力のある余さんの演技で、 見せられたからだと思います。

じわじわと水が浸食して来るように
心に広がる 映画です。


堤真一さん
夏川結衣さん
平田満さん
安藤玉恵さん
生瀬勝久さん
もとても 素晴らしかったです。

ぜひ、ご覧ください。
6月5日、東映にて、全国でロードショーです。 


追伸・最近見た映画
   「息もできない」「川の底からこんにちは」「ユリ子のアロマ」「カケラ」
   「春との旅」(試写・・・今回ご一緒した撮影の高間さんと照明の上保さんが
参加されています)「ロストクライム」(試写)
  ・ここんとこ見た舞台
    「ブルー・オレンジ」(チョウ・ソンハ素晴らしいです。中嶋しゅうさんも千葉哲也さんも
     もちろん素敵です・・・)
    「父との夏」(高橋いさをさんのホン、忘れられない台詞がありました)
    「2LDK」(三浦有為子さんが作です。おもしろい芝居でした!本も、おもしろいです)
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by yukikomishimafilm | 2010-05-15 23:20 | 徒然映画雑記