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映画を作っています。監督・三島有紀子のブログです。ここから、しなやかな、楽しい、いろんな広がりが見えてくるといいな、と、思っております。


by yukikomishimafilm
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写真に撮ると言う事

○だいぶん前に見たNHKの番組に写真家のアラーキーさんが出ていてね。
“幸福”をテーマに普通の人を撮っていました。

そこでこんな事を言ってました。

「そこにあるその幸福は、撮らなければ
過去のものとなり、消えていくけれど
撮っていれば、それは現在進行形になる」

彼がとても愛した奥さんが、スパゲティのお皿を
置こうとしながらカメラに微笑んでいる写真。
本当にそこにその人がいて、
「スパゲティできたわよ」という声が聞こえてきそうでした。

○以前、大学時代?に読んだボブ・グリーンという人がコラムに
書いていました。

「ビデオは真実を全て映し出す。だが写真は、記憶を呼び起こす
きっかけであり、それは真実ではなく、その人の思いやその人の
信じている記憶が蘇るのである」と。
全くその通りだと思った事があります。

○写真は、とても好きだ。
小さい頃に戻れたら、写真を撮り続けたいとも思う。
欲しかった写真集を頂いてから 「植田正治」の写真を見続けています。
生涯ふるさとを離れずに「自分の写真を撮り続けた男」。
かもしだすグレーの色がなんとも深さを強調しています。

○そう言えば、土門拳の原爆の被爆者の男性が白血病で
床に伏し、うなだれている写真を見て、
ぼろぼろと泣いてしまったことがありました。
自分の体だけではなく、自分が子供を作れば、つまり家族を作れば、
その人たちにも遺伝子レベルで受け継がれてしまう・・・
こんな絶望があるだろうか・・・と。
原爆は、決定的に人間の望みを絶つことをした。
でも、人は望みを絶える事なく持ち続けるのです。
生きていたい。
恋をして結婚したい。そして子供を作りたい。
悲しいじゃないですか。
そして、人間はすごいじやないですか。
そんなことを感じさせてくれる写真がありました。

○また、独り独りを立たせてスナップのように撮った
橋口譲二はこんなことを言っていました。
「僕は、写真を撮るという行為で、
初めて人とコミュニケーションができる」
相手を知りたい。
自分を知ってもらいたい。
そこにコミュニケーションの原点が見えました。

なんだか、こんなところで、カメラを出すのは
どうかしら・・・
なんて躊躇せずにもっともっと撮りたいなと思いました。

きっと、それはスクラップと同じで
好きなものを集める事だと思います。

映像が積み重なり、
ある別の人生を生きられたような
映像作品を作れればきっと幸せだなと、
思うこの頃です。
by yukikomishimafilm | 2009-11-04 22:10 | 三島の関心空間