「しあわせのパン」に出て頂いた中村 嘉葎雄さんと渡辺美佐子さんのこと。
2012年 01月 27日

中村 嘉葎雄さん。
こどものころ、映画館で見た「日蓮」 が最初で、中村 嘉葎雄さんを見たくて
立て続けに「天平の甍」を見ました。
まだ小学生だけど、うまいひとがいるんだなーとしみじみ思いました。
長い廊下を歩くシーンで、それまでの人生が一歩歩くごとにひしひしとこちらに
押し迫って来たのが忘れられません。
でも、何より
高校生のとき、イベントリバイバル上映で
「ラブレター」(監督・東陽一)を見たとき、
心を鷲掴みにされたのを覚えています。
来る日も来る日も、
中村 嘉葎雄さんの「うさぎ!」といいながらぷらっとやってくる姿
と女の体を眺める目が離れませんでした。
男の色気とはこういうことだと思いましたし、
この男がどんな風な人生を送って来たのか
送っているのか
まざまざと見えて来るのです。
誤解を恐れず見た時の感情をそのまま書きますと
「化け物みたいな役者さんがいる」でした。
渡辺美佐子さん。
わたしが最初に美佐子さんの演技に心奪われたのは、
映画「TATOO<刺青>あり」を見たときでした。
そして、井上ひさしさんが戯曲を書かれた一人芝居、「化粧 二幕」。
これも、誤解を恐れず言いますが
「ここにも、化け物がいた」でした。
もちろん、2010年の5月 座・高円寺での最終公演(28年も続けられていました)
も見にいきました。
このお芝居は「役者とは何か」を何度も何度も考えさせられました。
そんなお二人にわたしは、
どうしても出て頂きたくて
長いお手紙を書き、お渡ししました。
どんな映画を目指しているのか、と
お二人が演じてくださった
阪本史生さんとアヤさんがこれまでどんな人生を送り
どんな風に出会い、どんな風に時を過ごして来たか。
その手紙に綴った「人生」の部分はほとんど
小説版「しあわせのパン」にそのまま書き込んでいます。
お二人はいろんなお芝居を考えて来てくださり
メイク部屋や現場で、時間をかけてお芝居を作っていきました。
それはわたしにとって、とてつもない集中と至福の時間でした。
是非お二人の演技、ご覧いただきたいです。
by yukikomishimafilm
| 2012-01-27 10:39
| 三島の幸せ(もの・こと・ひと)