いろんな局面でほんとに苦労し難産だった作品なので、なんだか報われますね。
順撮りさせてくれたプロデューサーの森重さん、江守さん、ありがとうございます。
選考理由に涙がこぼれそうなほど、嬉しく思いました。
「今の時代を静かに描く演出」(松本)、
「子役を上手になだめながら撮っているように感じられ、演出家として達者」(渡辺)。
そして、そして、麗奈さん、
おめでとうございます。
難しい奈苗の役を演じ切ってくださりありがとうございます。
みなさま、おめでとうございます㊗️
そして、本当にありがとうございます。
P.S.全国でまだまだ上映しております。まだの方、また観たいと思ってくださる方、是非足をお運びください。
JALの機内でも上映されてます。
P.S.インタビューでもQ&Aでも、
子役について、子役の演出についてほんとによく聞かれます。
自分の演出のスタイルを誤解をしている記事をお見かけしたこともありますし、
ここできちんと子役の方への自分の演出スタイルと経緯を書いておきたいと思います。
【子役について】
いつもそうですが、今回も3人ともオーディションで選ばせていただきました。
〝異質な者同志の人間と人間の化学反応をつぶさに記録する〟
それがこの映画の目指したことでしたので、とにかく言われることが出来るのではなく、相手の投げた感情を受けとって、自分の中に生まれた感情をそのまま返すことが出来る子、を探し続けました。
キャスティング担当の方と「芝居をしたことがない子でもいい、絶対どこかいるはず」
と話して、演出部と一緒に毎週末に新しい子を見て、徐々に絞りながらも同時に新しい子を見てということを繰り返していたので、とても時間がかかりました。
結果、薫役には、お芝居を一回もやったことがない南沙良さんを選びました。
想像力と自分の中の感情から突然生まれる台詞だったり、
段取り通りではない相手役の動きから生まれる表情だったり、
私はいつもオーディションで何人かに絞ったあと、二人で話をするんですが、そのときに沙良は非常に薫のイメージと近いと感じたし、カメラ映りもすごくよかった。
この3人とも反応力と想像力と動物的勘が素晴らしかったんです。
「ここで台詞を言って」とか「ここで泣いて」みたいな演出は一度もしませんでした。
いつも、そういう演出はしません。
とにかく、「自分の中に生まれた感情を取り出して相手にぶつけること」と
「相手が投げてきたものに対して、ちゃんと反応すること」。
その繰り返しこそが芝居なのだということを徹底しました。
午前中は、子どもたちだけで、体を動かしたりしてワークショップみたいなことをやりながら、
今日撮るシーンの気持ちだったり、「この子(演じる役)は、こういうシチュエーションのときにどんな反応をするのか?」といった事をじっくり話し合い、
「こう言われたらどう答えたくなる?」と投げかけてから考えたり想像しといてもらって、
浅野さんや田中さんを呼んで撮影するというやり方をしました。
本当に繊細な心の変化を撮っていかなければならない作品でしたから。
実は今作は頭からほぼ順撮りさせていただいたんです。子役たちが主人公でもあるので特に家族のシーンはそうさせてほしいとお願いして。ほんと、それをやらせてくれたプロデューサーとスタッフに感謝です。おかげで感情の話をしながら進められたのは非常によかったと思います。
あとは、子役の方達の反応力を信じて、なるべく1テイクで撮る、ということです。
最初のワンテイク目で生まれる新鮮なお芝居のやりとりを信じています。
子役の方達は特に、何度もやってもいいことはないなあと思う方です。
この映画のとても大切なシーンである、薫が信からぬいぐるみのゴリラを受けとるシーンも、
1テイクです。ぬいぐるみも薫役の南沙良には、本番の一回しか見せていないんです。
私のヘッドホンには、南沙良さんの心臓の音が聞こえていたほどでした。
子役たちの化学反応がこの映画の肝だったと思います。
*写真1枚目はクランクインの日。
らい樹、浅野さん、三島
写真2枚目はクランクアップの日。
沙良、三島、美羽、麗奈さん